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『キャンバス』


真っ白なキャンバスに
自分の色を乗せていく

上手くやろうとあがいて
上手く行かなくて苛立つ

時には誰かの色を真似て
時には誰かの色に染まり

自分の色がわからなくなって
塗り直したい衝動にかられる

目指した理想と
目前にある現実
その差を埋めるため
また色を乗せ続ける


完成したら安いものでいいから綺麗な額に入れてもらえたらいい。
いつでも眺めてもらえるように。

倉庫には入れないでもらえるとありがたい。
色褪せるのもまた味だから。

きっと高値は付かないけれど
誰かにとって価値あるものになれればそれでいい。